白黒羊

文学に未練があるからゲームを作る

小さい頃から物語を読むのが好きでした。
小学校に上がる前、地域の図書館でノンタンの絵本を全部読んでからは、キッズゾーンにあった本を片っ端から読みました。マザー・グースの意味がよくわからなかったのを覚えています。今読むと面白いのですが。
好きだったのは「泣いたあかおに」「にんぎょひめ」でした。今の自分の作品の方向性の片鱗が見えます。
かいけつゾロリ」とかも読んでました。

小学校の図書室では、借りた本を図書館カードに記入していく形で、古くなると新しいカードをもらえたのですが誰よりもカードの枚数が多かったのが誇らしかったです。本が好きだというだけでなく、本をたくさん読んでいるというえらいことをしている感も嬉しかったのでしょう。まとまったものを全部読むことに達成感を覚える性質だったので、他の物語も読みつつ「子どもの伝記全集」を1から順番に読んでいました。
晴れの日は外に出て遊ばないといけないのですが、雨の日は図書室で本を読んでいても良かったので雨の日は好きでした。友だちと「ウォーリーを探せ」とか、「ミッケ!」したりもしました。
そして「南総里見八犬伝」が大好きでした。3度の飯よりファーストインパクトが好きでネタバレが何よりも嫌いなタイプなので、同じ話はあまり何度も読まない主義なのですがこれだけは何度も読んだ覚えがあります。

学年が上がってからは青い鳥文庫には本当にお世話になりました。
パスワード」、「怪盗クイーン」、「若おかみは小学生!」……。
ほかのひとが話してるのあまり見たことないけど、「黒魔女さんが通る!!」(もちろん読んでた)の石崎洋司の「風水アドベンチャー―カードゲームクロニクル」が結構好きでした。知ってるひといるかな……。
久しぶりに青い鳥文庫のwebサイト見たら知らないタイトル無限にあって時の流れを感じています。今読んでも面白いかな。「南総里見八犬伝」もある。私が小学生のときに読んでいたのでまだ続いてるのもいっぱいある……。

それから村山早紀が本当に好きです。「シェーラひめのぼうけん」すごくきれいだったな……。 「コンビニたそがれ堂」はたぶん生まれてはじめて泣いた本です。
守り人」シリーズも寝る前にベッドに寝転がって読んだ記憶がすごくある……。厚くて嬉しかったです。

あと小説じゃないけど児童館にあった「動物のお医者さん」が本当に好きでした。よろしくお願いします。

洋書の翻訳は回りくどい文章が多い気がして、そこまでハマらなかったのですが、「ダレン・シャン」は衝撃的でした。作者がダレン・シャンで、え? ノンフィクション? みたいになってしまったのも良かったです。クレプスリーが好きでした。
はてしない物語」も面白かったです。私はどこででも読める電子書籍大好きですが、これだけは絶対紙の本で読みたいです。読み終わって閉じたときのあの感覚。
それから「トム・ソーヤの冒険」に出てくるハックルベリー・フィンがすごく好きでした。

高学年ぐらいではYA!(ヤングアダルト)のコーナーが大好きでした。
図書館にYAコーナーがあって、小学生私は、え……アダルト……って、見たらダメなやつ……? 入り口すぐにあるのに……と思って目を背けていましたが、ヤングとアダルトの間の中高生向けでした。気がついて良かったです。あの棚全部面白かった。
No.6」とか、友達におすすめしてもらった「都会のトム&ソーヤ」とか。作家で言うと西尾維新とか。
あと日本神話とかに興味を持ち始めて色々調べて読み漁ってたのもこの頃だったはずです。今に生きています。やったー。
一度、図書館の本を全部読もうと思って作家名のあいうえお順に並んでいる棚の「あ」から読み始めたのですが、2冊目でスカトロものを引き当てたため、怖くなって断念しました。

中学生のときはテスト勉強をしに図書室に行って、帰りに本を借りて帰りました。
リクエストをすると新しい本でも割と追加してくれて、東野圭吾や湊かなえの新作を読みました。
容疑者Xの献身」大好きです。湊かなえは何かな〜、やっぱり「告白」かな。
引き続き地域の図書館にも通っていて、ラノベを読み始めてみたりしました。 「狂乱家族日記」とか「アキカン!」とか「デュラララ!!」とか。 表紙の女の子の露出が激しかったりすると、何となく借りるのが恥ずかしかったのを覚えています。
今のラノベ調べてたのですが、なろう系が多いのかな。令嬢とか異世界とか。なろうで書いて実際に本になってアニメになったりするのすごい。
そして「はっぴぃセブン」なる七福神のラノベがあるらしいので今度読んでみます。かわいい。

CASIOの電子辞書 では文学作品が読めるのですが、高校生の間は毎日それでずっと読んでいました。
電車の中でも電子辞書を広げる狂った学生に見えていたはずです。スマホを持っていれば青空文庫を読んでいたと思うのですが(内容は同じ)。
夢野久作の「ドグラ・マグラ 」「少女地獄 」、大手拓次の「藍色の蟇 」あたりが印象深いです。
夢野久作はご存知の通り読むと気が狂うやつです。精神が安らかなときに読みましょう。
大手拓次の詩は本当に綺麗な言葉がそっと静かに並べられていてゆっくり時間をかけて読みたくなります。
私が創作をするときはこの2つの方向性を目指しています。なかなかうまくいきませんが。
太宰治とか、夏目漱石とかはこのときにかなり読みました。 泉鏡花の「外科室」とかも好き。

大学生になったらちゃんと文学を学びたいなと思った高校2年生の夏、進学先として文学部を探しました。
文学部なんてどこにでもあるものだと思っていたのですが、案外見つからず少しだけ遠い大学に入ることを決めました。

クラスのようなものがあったのですが、そこの自己紹介で本を読むのが好きですと言いました。
同じように本が好きだと言っている人たちがたくさんいました。
ワクワクしました。
自己紹介が終わって、お昼ご飯を食べながらみんなで好きな本の話をしました。
私が何を好きだと言ったのかはもう覚えていません。
ほかの人が何を好きだと言ったのかも覚えていません。
いや、後者については覚えていないというのは不正確な表現でした。
彼らが話し始めた、その物語の時代背景だとか、何に影響を受けているだとか、知らない作家の名前だとか。
何もわからなかったのです。私以外の人は目を輝かせて楽しそうに話をしていました。
彼らはどの年代のどの国のどのジャンルの物語についてでも話していました。
私は、そこまで文学が好きなわけではなかったのです。

これだけ長い長い前置きをしておきながら、私の文学は簡単に終わりました。
好きなものに対して、人と比べるのは愚かです。
わかってはいますが、どうにも追いつけそうにないなあと思ってしまいました。

文学を志すのはやめようと思いました。
が、物語への執着は残り、そう簡単に諦められるものでもなかったため、文学ではない何かで物語を表現しようと考えました。
文学で人に勝てないのならば、勝負できる分野を増やし、その重なっているところで勝負するしかないと思いました。
私の大学は総合大学だったので、理転してプログラミングを学べる学部に行きました。
もちろん新しい世界にだって私の5,000兆倍プログラミングや数学に詳しい誰かはいるのでしょうがそれは別に良いのです。私には物語もあるので。
大学で研究したのはシミュレーションだったのでダイレクトにゲームというわけではなかったのですが、ゲーム制作における学びはたくさんありました。
このような感じで私はゲームという形で創作をしています。

今でも本は好きです。
大学に入ってからもたくさん読みました。入学当初に出会った人々を含めた他の人からも作品を教えてもらいました。
自分が何が好きで何がそれほど好きではないかがわかったので、的確に好きな本を狙い撃ちできるようになってきました。良いスキルが身につきました。森鴎外の雅文体が好きです。小川洋子の「博士の愛した数式」も大好きです。
沼田まほかるは読むと後悔しますが恐ろしい引力があるので読んでしまいます。

先日リリースしたゲームでは400字詰め原稿用紙400枚分のシナリオを書きました。
せっかくゲームというマルチメディアを選んでおきながらテキストへの未練がたらたらです。
そんな感じで今後も続けていくと思います。